Repeat

幾度となく同じ時間を、私は繰り返していた。

突然空から現れた侵略者によって攻撃される都市——その侵略者に立ち向かうべく走り出す、一人の白い少女の姿をした影。
私は今回も、その少女に声をかける。
「君はヤツらを倒しに行く気なのか?ならばいい事を教えてやろう。ヤツらには恨みがあってね」
この少女——ボンバーマンを利用して、侵略者・アルタイルから掠め盗られたコズミックキューブを取り戻す。それが私の計画だった。
計画は全て上手くいく。私はコズミックキューブを取り戻す。
その後、用済みになった少女と、この惑星を共に消し去る——そのつもりだった。

既に知っている。
私は、この少女の返り討ちにあって、倒される。
そして——気がつくと、同じ時空なのか、パラレルワールドなのかは分からないが、少女に初めて出会うこの日に、戻ってくるのだ。

やり直せると気づいた瞬間、利用するターゲットを変える事も考えた。
だが結局、毎回この少女を選んでしまう。
元々持っていたであろう圧倒的才能が、実戦の中で開花し、最後には見事にアルタイルを下すところを見ていたから。コズミックキューブを取り戻すという計画を、まずは完遂しなくてはならないのだから、彼女以外の人選は考えられなかった。

そして、繰り返すたびに、私は何度も間抜けな嘘をつく。
「私のいた星は、以前アルタイルによって壊滅させられた……挙げ句の果てに、ヤツに弟や妹達を殺され」——この話をしている時、彼女はいつも、私をまっすぐ見つめながら、黙って聞いていた。
「私が君に協力するのは、宇宙を救うといった崇高な使命感からじゃない。単に恨みを晴らして欲しいからなんだ。君には迷惑かもしれないがね」
すると彼女は首を横に振り、こう言った。
「いいえ。シリウスさんの力にもなりたいです」
「……そうか。ありがとう」
騙されていると知らない彼女の言葉を、私は毎回そうして受け取っていた。

コズミックキューブを手にした瞬間に、焼き殺してしまえば良かった。
あの場面ならきっと、レグルスの邪魔も入らないだろう。
だが、いつもそれが出来なかった。何故だかは分からない。

そして今回も、レインボーパレスで彼女を待つ。
ここまで来れば、どうあがいても同じ結末になるだけだった。
何度も試してはみたが、レグルスの猛攻からコズミックキューブを守る事はできない。あっけなく破壊され、私は力を失う。
「ざまあねぇな」と私に吐き捨てるレグルス。
少女は決意を目に宿し、レグルスと共に私に戦いを挑んでくる。

何故だ。何故、勝てない。
ここで殺しておけば、という場面で何故殺せない。
そうこうしているうちに、避け切れない爆炎が迫って来る。ああ。また終わりだ。次の瞬間には、また繰り返してしまう——少女に始めて出会った、あの瞬間に戻ってしまう。

——本当は、嬉しかった。「力になりたい」と言われ、自分は嬉しかったのだ。
もしも、「利用する」のではなく、本当に「仲間」であったのならば、あの言葉を贈られた瞬間から、自分は孤独ではなくなった筈なのだ。
最初は、下等生物と見下していたはずのボンバーマン——この少女に何度も出会ううちに、次第にその強さを認めるしかなくなって、何度も「力になりたい」と言葉を贈られて…いつの間にか、惹かれていたのだ。決して気づきたくない事実に、今この瞬間に気づいてしまった。

ああ。次の出会いがあるならば、私はこの事をちゃんと伝えるべきなのだ。しかし——。
「もしかしたら、これが最後かもしれない」
そんな不安に襲われながら、爆炎に飲み込まれていく。そのまま意識は遠のいた。